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絵ですよ 昔
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2006.08.06 (Sun) 帰ってきました

□4時起床、双六岳に登頂して、そこから8時間かけて下山。うー、疲れすぎ。
両日とも快晴で手のひらと鼻の頭が真っ赤に陽に焼かれました。

□星空とスイカとヘリの音。雪渓とコーヒーとショートパンツ。ずっと槍ヶ岳が東にくっきり見えててすごかった。次行く山に決定。

□疲れ果てたのでモウ寝ます。下の回転ドラは止めておきますね。
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2006.08.04 (Fri) 工程のない八月

dora_wheel.png 216×210 14K時空のデザイン展@東大総合研究博物館
さよなら、ナム・ジュン・パイク展@ワタリウム
こんなんあったんだ。
土曜はブラブラしたりなんかせず、こっち行っときゃよかったな。

回転する画像@DPZ
某中古車ショップのバナーがちくしょうよくできてんなーて感心してたんですが、こちらもすばらしい。
オンマウスから止まるまでに若干ラグが生じるのがさらに回転感を増しますね。
あとこれは個人的な感覚ですけど、画像の上にカーソルを左から入れるか右から入れるかで、右回転に見えたり左回転に見えたりもしますよ(オレだけ?)。
それはつまりこの回ってる感じは逆行的な(つまりマウスで「止めた」ことではじめて生起→学習される)認知現象なんではないかナーてふうに思えるんですが、どうなんでしょう。
だって、最初は「あれっ?」って思ったでしょう。つまり直前まで脳内では被写体が回転しているという知覚像を生み出す回路はできていなかったてことです。止まってはじめて、回転していたということに気が付く。一度気が付いたら、あとはもう回ってるようにしか見えない。これは学習です。って養老先生みたいなこと言ってますが、こういう瞬間的な神経回路の形成のことなんていったっけかな。これ書いてオチがつくのに。まあ思い出したらまた書きます(思い出せないかも)。

UDO MUSIC FESTIVAL 緊急レポート
タモリ倶楽部BGM検証でおなじみの六弦斎さんのmixi日記より。
ひやあああああ。いたたまれない。MTVステージの惨状なんか目も当てられないな。観客きのどく。でもなんか他人事とは思えないこの感じは何だろう。
あああ!思い出した! 数年前、名古屋のHMVでシーモネーターの閑散としたインストアライブに通りがかったときうっかり目が合って(シーモネーターと)一時間あまりその場を離れることができなかったこと思いだした! 俺小心者だから一生懸命やってるのを棒立ちで聴くわけにもいかず、微妙なノリを要求されつつゆらゆらと体動かしながら嫌な汗かいて指が真っ白になってあああああ!
きっとあのとき俺のマブイ落っこちたはずなんで拾いに行かなきゃいけないんですが、誰かユタのオバア呼んできて!(もう手遅れ)
そういうシチュエーションに巻き込まれたときは、他の誰かが立ち止まった時を見計らってすかさず離れてそいつを置き去りにするという「幽霊屋敷の悪霊メソッド」以外逃れる方法はないんですが、一時間くらい(つまりライブ終わるまで)誰も立ち止まってくれなかったんですよね。地縛霊になるかと思った。
優雅で感傷的なJ-POPフラッシュバックカウントダウン。

WHF事務局より大切なお知らせ
こっちもすごいな、一体何が起きてるんだろう。
◎前回2006年4月30日のWHFにおいて発生した偽札事件で事情聴取を受けられた方、及びその関係者。
…って。読売アンデパンダン展でもやってんのか?こりゃハイレッド・センターのコスプレして行くしかないな。
参考リンク:赤瀬川原平「東京ミキサー計画―ハイレッド・センター直接行動の記録」(ちくま文庫)

IMGP1718.jpg□で、気付けばもう金曜日ですか。
帰ってきてから5日たった気がしない。
先月から自宅の増築工事をしてて、広い部屋が壁全部本棚になるのを楽しみにしてるんですが、最近大工さんが来ないんですよね。まあ予定通りに完成すれば文句ないんですが全然工程表通りに進んでないのがさすがに不審なので工務店に電話かけたら、別の突貫工事で人員を取られてどうのこうのと歯切れの悪い返事。盆休みにも入りますのでなんたらかんたら、とグニャグニャしたいいわけを聞かされて、こっちもいい加減イライラしてきたのでいつ頃完成するんですかと聞くと、今月いっぱいはかかります…って。ええええ!それはないでしょう。
部屋の完成にあわせてハイなんとかビジョンテレビ買ったのに、いつ搬入できるんだー。電気屋さんとこで止まったまんまだよ…。
てゆか、この不自由な暮らしのまま8月を過ごせというか。段ボールの山に囲まれて蒸し死にそう。クーラーも外しちゃってますよ、だはははh

□つーこって明日から山に登って酒飲んで寝てきます。
晴れるといいな。うちの地方ではちょうど今くらいが七夕です。いわば八夕。天の川が見えたら色々おいのりしてきます。工事が早く終わりますようにって。マブイ戻ってきますようにって。
  • おと:
    >UDO MUSIC FESTIVAL 緊急レポート
    これ!私も思いっきり笑かしてもらってました!
    書き方が、すごく上手いなーと思って。
    特に
    カミーユ出してきて「大人のやり口ですね。小賢しいですよ!」とか
    「砲撃により、暁に染まるフジ上空」の写真とか・・
    プロの仕事だなあと思って読んでました。[2006/08/07 16:12]
  • sawamura: 事態が事態だけに書き手の技量と姿勢が問われますよね。
    モッシュしてたらいつの間にか一人きりになってたって状況とかもはや笑いを通り越して戦慄すら感じます。
    夕暮れ時に神社の境内でかくれんぼしてるんじゃないんだから。[2006/08/07 22:39]
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2006.08.02 (Wed) 夏が下る

□夕方、新聞を読んでいたら、打ち上げ花火の音が聞こえた。花火大会らしい。
人混みを想像したら出かけていくのがためらわれたので、工事中の三階によじ登って(階段がまだついてない)向かいの家の屋根越しに遠くの空をみると、非常識な大きさの赤い火の輪がぽんと咲いた。おー!と思わず歓声が出る。打ち上がっとるねえ。
このまま見ていたら降りられなくなりそうだったので、暗くなるまえに切り上げて下に降りる。

□父親から川上川に鮎漁の網が入ったという話を聞いて、ああもうそんな時期かと思った。先週梅雨が明けたニュースを聞いたばかりなのに、もう夏が終わりかけたような気分になる。
毎年鮎かけに連れて行ってくれるおじいさんからは今年はまだ連絡がなく、元気でいるか少し心配。
今週末は双六岳に登る予定で準備してるんだけど、そういうタイミングに限って連絡が来たらブルーだ。

□mcdさんから教えてもらったPanasonic LX2実写速報をみて、あまりにもあんまりなNRにアゴが落ちる。これはひどい。ISO3200に至ってはデジタル念写の域に達している。めいっぱい縮小したらblogに添える画像ぐらいには使えるかもしれないけど、撮影そのものを躊躇してしまいそう。
これならさんざん叩かれてたLX1のノイズのほうがまだ素直だったような。せっかくデザインがよくなったんだし、無理して増感せず画素数と背面液晶の向上だけを売りにすればよかったのに。

□横山秀夫「クライマーズ・ハイ」(文春文庫)
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2006.07.30 (Sun) みずいろ

□マンガ喫茶泊は最終手段だということが分かった。

□駅地下の喫茶店で目覚ましのコーヒーと軽食。メモ帳を取り出し、曇った頭で今日の予定を思いつくままに書き込むが、自動書記みたいなメモを読み返してもわけがわからず丸めて灰皿に放り込む。

□朝の秋葉原へ。約束の時間までケーブル探し。ミマツ音響でコンポーネント-D端子の安いやつないですか?と聞いてみたら、今日の限定品で出す予定だったんだけどって店の奥から商品を出してきてもらえた。モノもよさげでしかも格安。朝から肌の調子がよくなくて正直ブルーだったんだけど、タイミングいいねーと笑って商品を渡してもらったら一気に晴れやかな気分に。やったー!今日はいい天気になりそうだなあ!(単純)

□11時に電気街口で漫画家の大石さんと待ち合わせ。
ひょんなことから知り合って、上京に合わせてお会いして頂けることになったんでした。
改めて自己紹介と近況の交換。出たばかりの新刊をいただいて激しく恐縮する。こちらは名刺以外に渡すものもなく、サイエンス好きのひとにはこれを話さずにはおらりょうか!とばかりに11月のカミオカンデツアーのご案内を一席。もはや歩く広告塔と化しております。

□「志な乃」でそば。上京の理由を聞かれて、一昨日観てきた科学映画についてどう説明したもんかとぎこちない言葉で話をすると「ああ、岩波映画みたいな? 昔学校で観ました(笑)」とあっさり通じてしまった。「岩波映画」という単語がするりと出てくる人はなかなかいないと思う。さすがだナー。

その後、丸の内までてくてくと歩く。
道すがら、海釣りやシュノーケリング、飛行機輪行の話など。飛行機輪行はかねてから気になっていたんだけど自転車の扱いが雑だったらやだなと思って二の足を踏んでて、そのへんどーなんですかと伺ってみると、国内線では結構丁寧に扱ってもらえますとのことで安心した。そのうちやってみたいな。
こちらも問わず語りに昔の記憶から引っ張り出した川の話や海の話なんかをぽつりぽつりと。ずっと昔の水辺の記憶も、無理に押してみれば水がしみ出してくるもんで、楽しかった感覚が甦ってきてそれなりに興が乗る。
最近買われたというエレクトラビーチクルーザーのカスタム裏話を聞いてのけぞったりも。エレクトラちゃん三連ホーンのひみつ。

□今年二度目のJAXAi。いつ来てもここは空いてるからいいな。
スクリーンに上映されてるM-V8号機の打上げ映像を眺めたり(グレーとオレンジの機体がカッコイイ!)、書籍コーナーに置いてあった火星儀を手に取ってのんびりSF話をしたり。ふと下のフロアをみるとゲルニカの絵の前に巨大カマキリが出現してて、ポケモンスタンプラリーのガキどもを今にもとって食いそうな構図に激しく心を打たれた。みんな!逃げて!
その後、地下の喫茶店でお茶しながら絵やマンガの話など色々と。うわ、気合い入りますワー。

□品川に移動。久しぶりのIMAXシアター詣。
次の上映まではまだ時間があって、ヒマつぶしにYahoo!カフェに入ったんだけど、そこでまさかの悶絶イベント発生。手が震えて目の前が真っ白になる。あまりに俺がヘタレすぎてとても委細は書けないけど、横の大石さんはずっとニヤニヤしていた(ような気がする)。
そ、そーゆー、そーゆープレイなのか?!(泣)

□「オーシャンワンダーランド
40分の海中散歩。エイの捕食行動がたまらん。ばっさばっさとヒレを使って海底の砂を巻き上げて、インテークみたいな口でどんどん吸い込んでいく。テレビでハタタテガレイを見たときもそう思ったけど、あいつら絶対ピクミン食ってやがる!
海中を泳ぐウミガメを真上からカメラが追従するシーンはほとんど空撮でも見てるような気分。ぺろんとのびた後ろビレの形がF15の水平尾翼そっくりでかわいい。
背景に広がる青黒い海は視差手がかりを失って、どこまでも深く感じる。

ところで3D映画はやはりパンフォーカスが命だと思う。画面のすべてが奥行きを持ってそこにあるから、メインの被写体にこだわることなく自由に視線を泳がせて隅々まで見渡せる楽しさに浸れる。1カットにたっぷり時間を取って観客に自由に眺めさせる作りはじつによろしい。逆に、映画的な効果を狙った速すぎるカメラワークやカットインは、脳の中に生じた立体感をたちまち破綻させてしまうから厳禁。
ヒッチコック作品に「ダイヤルMを廻せ! 」というサスペンス映画があるけど、あれももともとは3D映画として作られていた(当時はアナグリフ式)。今手に入るソフトでは2D版(?)しか観ることはできないけど、注意しながら観ると上に書いたような3D映画の禁じ手を巧みにかわしているのが分かる。限られた手法の中で、ヒッチコックがいかにサスペンス映画を成立させているかという視点で観ると、あの映画の評価もまた変わってくるんじゃないだろうか。逆に3D効果を最大限に狙った演出はすぐに分かるけども(ハサミ…)。

□上映後、フードコートでタコ焼きなどつつきながら映画や本の話。
大石さんも自分と同じ頃に荒俣宏を買い集めていたという話を聞いて嬉しくなる。思い起こせば、「帝都物語」の印税を全て投入した「世界大博物図鑑」の刊行もちょうどそのころだった。「本朝幻想文學縁起」や「大博物学時代」などを出して、オレ内評価では平凡社と並んで荒俣本の優良版元であった工作舎の松岡正剛も讃えているとおり、常軌を逸したエネルギーと執念で書かれたあの本の完成は偉業と呼ぶほかなく、当時田舎の高校生だった自分にとってもただごとではなかった。それまで1万円を越える本など買ったことがなかったし、すくない小遣いをどうやりくりして手に入れたらいいのか分からず頭を抱え、正月の臨時収入でようやく注文を決意した「魚類篇」がついに近所の本屋に届いたという連絡の電話を受けたときは飛び上がって喜んだ。あの大著をとうとうこの手で受け取ったときの緊張感と感激は今でも忘れられない。家に帰って手を洗い息を詰めてページをめくり、古今東西の膨大な博物画を寄せ集めた図版の美しさにうっとりしながら、とうとう何百ページ目かに至り図版の微かな印刷ヨゴレを発見してしまったときは泣きたくなった。今思えばあれは別に印刷ミスと呼べるものではなかったが、すぐさま平凡社にクレーム電話を入れ担当者にさんざん文句を言ったあげくムリヤリ交換してもらったことを覚えている。あのときは本当に頭がどうかしてました。そんなこともあってか、編プロで働いてた頃は、そういう頭のおかしい電話からは逃げ回っていた。そんなことはともかく、1990年前後は荒俣本の発刊ラッシュで、本屋に立ち寄っては新刊目録や平凡社の「太陽」なんかをチェックしてた。今はなきリブロポートから毎月二冊ずつリリースされてまたしても頭を抱えることになった「ファンタスティック12」シリーズや、熱帯妄想にしばらく取り憑かれた「地球暗黒記」(最終巻の発売直前に消費税が導入されて背表紙の色が一斉に変わってしまいひどく落胆したことを覚えている)なんかの記憶もむくむくと甦ってきて、ついあの頃の憑き物を全部吐き出してしまいそうになるのを必死に押しとどめる。さすがに初対面の人にとりとめのない昔話は聞かせられません。ってさっきから自分サイドの話しか書いてないですね。まあオフレコ話も多々ありますので。

夕暮れ迫り、品川駅でお別れ。
長い時間おつきあいしてもらって、改めて恐縮する。どんなネタを振ってもたいてい拾ってもらえたうえに、さらに大きな話が返ってくると逆に自分の知らなさっぷりが露呈してしまう一日だったけど、いやとても楽しかったです。お疲れさまでした。

□夜。原宿で小澤さん夫妻と待ち合わせて、ブラームス通りのカレー専門店「Indian Cafe Devi」で夕食。適当に選んだ店だったんだけど、カレーもナンもけっこう美味しい。小澤さんも気に入ったようす。「四万十」で渡しそびれた記録映画のDVDをさしあげる。
昨日の飲み会で話題になった「郊外」についてまた色々と。「郊外」は小澤さんの中でずっと大きなテーマらしく、話は地域コミュニケーションから地名の変遷、中間的な距離感覚などあちこちに広がる。どれも面白いので僕も自分なりの思いつきを差し挟んだりはするものの、なかなか問題の核心には触れられず、カレーを口に運びながらあれこれ考えを巡らせる。
食事も済んで、けだるい満腹感の中でおすすめバイクの話を聴くうちになんだかその気になってしまった。帰ったら自動車学校に連絡して…いやいやいや。ああ、この人の話は危険だ。

□23時発の夜行バス。閉めきったカーテンに囲まれて中央道を下る。小さな読書灯を点けて、大石さんからいただいたコミックスを読む。透明感のあるカケアミで描かれた世界の澄んだ空気が気持ちいい。話を追うのを忘れて絵に浸っているうちにいつの間にか眠ってしまった。

大石まさる「水惑星年代記」(少年画報社)
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2006.07.29 (Sat) 四万十で飲む

kumamimi.jpg 195×120 71K □午前中は何してたんだっけ。
「時かけ」オールナイトの整理券目当てに、テアトル新宿前にできあがったすげえ行列だけはやけに記憶に残ってます。なんか席取りとかすごかったみたいですね。てか都内唯一の上映館がこんな小屋じゃなー。

大庵で天そば。
中野に移動してフジヤカメラを覗いてみる。意外と小さい店で驚く。ジャンクパーツの出物はこれといってなし。水没して泥まみれになったEOS 20Dが持ち込まれて1000円くらいで買い叩かれていた。ジャンクじゃない中古を扱ってる店舗は斜め前にあって立派な店構えで安心した。特に買い物はしなかったけど。
最近出たコミックスを買おうとブロードウェイ内をウロウロする。まんだらけにも入ってみたがこの店には新刊が置いてないことにしばらくしてから気付いた。

□夜、青物横丁でドッパク君、EPOXY博士と落ち合う。
他のメンバーが来るまでミスドで時間を潰しながら雑談。最近見た映画の話とか。
そのうち小澤さんたちもやってきて、いよいよ噂の四国料理の店「四万十」へ。今夜の集まりは、先日のカミオカンデツアーの参加者を中心とした打ち上げ飲み会、を装った「四万十体験ツアー」。
小澤さんに同行してきた中島さんとは初対面。初めましてー。幻想ヘボリアル読んでます!
看板娘のてんしさんが描かれた名刺をいただいて舞い上がる。

□ほどなくビールが運ばれてきて宴の始まり。小澤さんから聞いていたとおり、頼んでもいないメニューが次々と運ばれてくる。
四万十海苔やじゃこ天が美味しい。ピッチャーが空になったら奥のビアサーバーから勝手に注いできていいらしく、ほとんどガストのドリンクバー状態なのがすごい。やや遅れてオトさん到着。そのころにはテーブルの上は料理皿で埋め尽くされていて、空いた皿をどかしながらさらに運ばれてくる焼き鮎やニラ焼きを迎える。ビールはいいから酒が欲しいと言えば一升瓶がドンと置かれ、烏龍茶くださいとお願いするとペットボトルと氷入りのボウルがやってくる。
なんなんだこの店は。

わざわざメニューから選ぶ必要がないから酒飲み話はいいあんばいに迷走して、カミオカンデの印象からビショ濡れ登山の話、旅の時間のリアリティ、90分という通勤時間の丁度良さ、下宿体験と郊外感覚、共感覚と錯覚、茂木健一郎の目撃談などあてどもなく彷徨う。今思ったけど、茂木健一郎には幼児番組のお兄さんのような格好をさせて「アハ体操〜!」とかやらせたらすげえ似合うんじゃなかろうか。

□中島さんがしてくれた土星の衛星タイタンの話が面白かった。メタンの雨が降るタイタンは大気の層が厚くて地表には長い波長しか届かないらしい。我々からみればそこはどこまでも赤い世界なんだけど、そこに住む生物が視覚を持っているとしたら、限られた波長の中にどんな「色」を見出すのかって話だった。ヒトの感覚相(という言葉があるかどうかはしらないけど)からずれた知覚世界の話は考えれば考えるほど答えが逃げていくから本当に面白い。「火星の人類学者」や「眼の誕生」を読み返したくなった。
やがて仕上げのシフォンケーキとうどんが振る舞われ、そろそろ帰りの電車が気になる時間に。最後に店のおばさんに軽く占いをしてもらい(四万十は頼んでもいないのに占いをしてくれる店でもあるのだった)、結果に一喜一憂しながらお開き。

□新宿まで一緒だったドッパク君、中島さんと別れてホテルに向かう。
はずだったんだけど、土曜日の予約がことごとく取れずマンガ喫茶で夜を明かすほかない状況に。シャワー付きの店を探して歌舞伎町界隈をウロウロしていたら黒人のポン引きが急に寄り添ってきて、お前アメリカ人だろ?と英語で話しかけてきた。大いにビビりつつも変わった手口だなーと妙に感心する。
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2006.07.28 (Fri) 夜の学校

□八王子を過ぎたあたりからバスは自然渋滞につかまり、船幽霊にまとわりつかれたようなのろのろ運転。新宿着、小川町へ。とっくに上映は始まっていて、講義に遅れた学生の気分で通い慣れ始めたneoneo坐の扉を開ける。
この日の科特隊は「こわす」(1974)、「くっつける―接着の革命―」(1967)、「混ぜる―そこで何がおこるか―」(1968)、「みがく」(1978)の4作品を上映。
「混ぜる」は、女性の歯切れのいいナレーションで何度も繰り返される「この世は後戻りなしの一方通行。私たちは混ざりものの世界に住んでいるのです」というフレーズが耳に残った。コロイドなんて言葉を久しぶりに聞く。
「こわす」では、航空機部品の非破壊検査、ダイヤモンドのカッティング、原子を破壊するサイクロトロン、粉砕した鉄粉を使っての圧縮成型などの実例など。「壊す」のバリエーションとして「溶かす」への言及もあって、今はもうない鉛活字のリサイクルが面白かった。古い活字を炉に投げ入れて銀色の液体鉛が鋳造機に注がれる。鋳造機が働いてぞろぞろと新しい活字が送り出されてくる。ずらりと並んだ「壊」の文字。こういう生真面目な演出は大好きですよ。

□先日、科学映画に感じる面白さについて書いたばかりだけど、改めて作品に触れてみるとかなりの部分を頭で書いてしまったんじゃないかという気になってしまった。こうやって観てるときの楽しさを、理屈に逃げずに大づかみに伝える語り方はないもんだろうか。なんて考えてはみるんだけど、なかなか見えてこないのです。上映会に足繁く通ってスクリーンを眺めながら自分の中に何かが満ちてくるのを待つしかないんだろうな。
上映後、ELMOの16mm映写機を操っていた科特隊隊長の清水さんのそばに行ってリールの巻き戻し作業を興味深く眺めてたら、毎回わざわざ遠路はるばる…と恐縮されてしまい、こっちも恐縮する。新隊員田中さん@東大院情報学環の研究室が、紀伊国屋が出してる記録映画セットを最近全巻購入したらしく、みんなで入学しよっかーなんて軽口を叩いて笑ったりした。

□この後の食事の相談をしていると、neoneo坐の女主人・佐々木さんから夕食のお誘いを受ける。一も二もなく飛びついて、そそくさと食卓の準備。スクリーンの裏は扉を隔てて厨房になっていて、鶏肉とキュウリの黒酢炒め、チャーシューの味噌漬け、サラダやビールなどが出てくる。木の長椅子をテーブル代わりにして美味しい食事をいただきながら「ゆふいん文化・記録映画祭」について聞かせてもらう。映画祭の内容より、おすすめの宿や交通手段といったわりと具体的な話。ちょうどこの日、夕張ファンタの中止が報じられて、国内の映画祭が直面している厳しい状況なんかも話題になったけど、ゆふいんの運営はなかなか手堅いらしくしばらくは安心なんじゃないかとのこと。とはいえ行くのは早いに越したことはない。

□日付が変わる前にホテルにチェックイン。先月まであったコインPCがなくなっていて、大事なメールのチェックができず焦る。
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2006.07.28 (Fri) ノンタンだよ?

□ドラミは千秋で決定なんですか

*ist D シリーズ をお使いのユーザー様対象
PENTAXのデジタル一眼レフカメラ*istDシリーズ添付のRAW現像ソフトPENTAX PHOTO Laboratoryが、最新版へと無償バージョンアップ(閲覧ソフトのPENTAX Photo Browserも同じく)。
SILKYPIXエンジンが入ったPPL3はK100Dの購入特典だと思ってたんですが、太っ腹!こないだも*istDSをDS2相当にしてもらったりして、なんかすごい無理させてる感じ。俺最近は中古のM42レンズとかしか買ってないですよ?
トワイエ、これまでRAW現なんてしたことなかったりするんですな。せっかくだからこれを機にやってみようかしら。

□Livedoor Readerにオススメされて田中雄二さんの「POP2*0」を面白く読んでます。
フェアライトCMIをめぐる思い出話とか「電子音楽 in JAPAN」執筆時の裏話とかすごい面白いんですが、板倉文(チャクラ、キリング・タイム)録り下ろしインタビューがめっけもん。あとでゆっくり読もう。板倉文といえば「老人Z」のサントラですね。インタビューではさっぱり触れられてませんがアニメはすごい面白いのです。湘南の懸垂型モノレールを使ったメカアクションは本当によかったなー。市川準作品もずっとやってたんだ。「ノーライフキング」のときは鈴木さえ子だったような。懐かしのアルゴプロジェクト。

細野晴臣夢日記
フォトコラージュが妙に見事

□樋口真嗣「日本沈没
後味スッキリ! スッキリすぎてどんな話だったか忘れちゃいました!
(以下余白)
うーん、俺の琴線は素通りでしたわこの映画。
個人的には原作の筋書きを改変することにはまったく異議はないんですよね。ケレン味を極力廃した災害シーンもむしろ好みだし、どんな俳優を出そうが構わないんですが、せっかくの大状況なんだからすこしはこっちの世界観を揺るがす映画になってたらよかったな。映画館から出たとき地面がまだそこにあることに戸惑いを覚えるくらいには揺さぶりで。震度4くらい? 旧作ファンへの目配せなんか本当にどうだっていいから。そんな余裕見せるくらいならきちんと日本沈めて下さい。まさかDVDのコメンタリーで喋るネタを考えながら映画作ってるんじゃないでしょうね。
あーでも、もしかすると幻の大森一樹版リメイクが企画された時点でこうなることは運命付けられてたのかも。あのときも阪神大震災がどうのレスキュー隊がこうのとかってコメントを読んだ気がしますよ。

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2006.07.26 (Wed) 雨中山行とか

□あら1月も。
気が付けば明後日の話ですが、来たる28日金曜日は先月の日記でも書いた「Just Do It! 動詞映画まつり」@neoneo坐の第2回目に参加してきます。楽しみ〜
またよろしくお願いします>関係者
入場無料ですので、おヒマのある方はぜひどうぞ。

□で、話は先々週に飛びまして、7/15には今年も神岡鉱山で行われたジオスペースアドベンチャー2006のツアーコンダクターをしてきました。長くなりそうなので、つとめて簡単に。
個人的には今回で3回目の入坑ですが、鉱山の中というのは何度行っても飽きない場所です。今回はルートがちょっと違っていて、スーパーカミオカンデの裏口からお邪魔するというコースになっていて、かつて坑内トロッコが走っていた坑道を、頭上の架線を気にしながらレールの上を歩いていき、素粒子観測施設の入り口へ。巨大タンクの上部へと降りる仮設階段から望む地下ドーム全体は新鮮なパースペクティブを持って迫ってきました。
SK
足下のタンクの中は例によって観測中なので、深さ40m・5万トンの超純水が湛えられた暗黒の空間に思いをはせながらニュートリノ観測についてのレクチャーを受けたり、うろうろと周囲を見学したり。
そのあとは、坑内で稼働している掘削重機の岩盤穿孔の実演(すさまじい音響!)や暗黒体験などを案内。全部で3時間ほどの地底ツアーをご一緒させてもらったんですが、参加者の皆さんにはそれなりに楽しんで頂けたようでなにより。

しかし、ボランティアとして気になるのが今後のツアー予定。毎年参加者を運ぶ足として運行してきた神岡鉄道が、年内をもって廃止されるので、行程の半分が白紙になってしまうと聞いているんですが、来年からは一体どうなることやら。
一応、ラストランの直前にミニツアーが企画されてるようなので、気になる方は応募されてみてはいかがでしょうか。

□ツアー翌日は、東京からいらした小澤さんと一緒に西穂高岳へ。
朝から雨模様で、こんな天候の日の登山はためらわれたのですが、日を改めるわけにもいかずレインウェアを着込んで登山口へ。
山道を歩いて西穂山荘に着いたころにはかなりの本降りでちょっと太陽は望めなさそう。とりあえず行けるとこまで行ってみましょうと、山荘から丸山をこえて岩稜の始まる独標のあたりまで登ってみたのですが、ハイマツの茂みが途絶えたあたりから猛烈な雨と風の洗礼を受けました。
岩にしがみついていないと体を持って行かれそうになる突風に耐えつつ頑張ってみたものの、独標の先のピラミッドピークへと至る稜線を進むあたりで体温の低下が心配になって引き返すことに。
いやほんと荒天の山というのは洒落にならない。断続的な突風が吹くたびに、顔の半面に砂利でも投げつけられたかのような痛みを感じて、とうとう雹が降ってきたのか思わず身を固くしてみれば、横殴りの雨粒だったりといった塩梅で、地上でもちょっと経験したことのない暴風雨でした。下界ではただの雨が、2800m付近ではあれほどの威力になるんだから、巨大な低気圧に覆われたらさすがにひとたまりもないかも。天候と体力を読んだ山行がいかに重要かを思い知らされました。
山肌に沿って下から吹いてくる雨は、まるで風洞実験でクレイモデルの周囲を流れる煙の筋のように流線を描きながら稜線を越えてガス状の雲の中に吸い込まれていきました。その中を進んでいると耳に水が入るわ、メガネの下縁に雫がたまって視界の下半分があやふやになるわで、登山をしているのかプールで暴れているのか分からなくなってしまいます。
途中、どのくらいの風が吹いているんだと持っていたアルミのストックを風上に掲げてみると、ストラップの先が軽々と持ち上げられて吹き流し状態に。びっくり。(向こうにいるのが小澤さん)
blown_stock
常々ハンディGPSが欲しいと思ってたんですが、あんな風に遭ってしまうとハンディ風力計が欲しくなりますね。
雨風に殴られっぱなしのまま山小屋へ至るルートを慎重に歩いて、ようやくハイマツの茂る高度まで降りてくると、あれだけすごかった風が、茂みに遮られてたちまちウソみたいに止んでまたびっくり。
周囲はただの雨降るハイキングコースといった趣で、風は相変わらず猛烈な勢いなんだけど、頭上でうなりを上げるばかり。植物のもつ遮蔽力に二人して感嘆したりしました。

ようやく山荘にたどり着いて一休み。初めての行った時からまるで進歩のない素人山行で、ザックもカメラもびしょぬれになってしまいましたが、ちょっと下界では味わえない経験ができたもんだと内心ニヤニヤしっぱなしでした。こんなだから成長しないのかも。
つーこって、来月は双六岳に登ってきます。晴れるといいな。
  • ozawa: いやあおれも内心ニヤニヤしてました(台風来て大喜びする性質)[2006/07/27 00:39]
  • sawamura: では雨中登山を恒例にしますか![2006/07/28 13:11]
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2006.06.24 (Sat) 我が名はエレクトラ

electra.png 165×320 103K □うわ、こんなんやるんだ。いいないいな。
HOSONO THEATER
スケジュールラインナップ
6/30がすげい!

週末の日記つづき
□昼前に小澤さんと渋谷で待ち合わせて、富ヶ谷の自転車ショップGRIPへ。
お目当てはエレクトラのビーチクルーザー。とある方からこの自転車の面白さをかねがね伺っていて、いつか試乗してみたいと思っていたんでした。
アメリカで大人気!だけあってか、ハーレーみたいなシルエットがすごい。長めのホイールベースと若干前気味についているクランクのおかげで、安定感と漕ぎやすさが特長。
さっそく試乗させてもらう。左右に幅広いハンドルを握ってシートに深く座るというのがなんか新鮮。ちなみにエレクトラのハンドルには左のブレーキレバーがついていない。フロントブレーキ用の右レバーが付いているだけで、じゃあリアはどうしているのかというと、ペダルを逆回転(!)させてブレーキをかける。このコースターブレーキはヨーロッパやアメリカの自転車ではわりとポピュラーな機構らしい。(公式サイトのカタログを見るとハンドルには何もついてないんだけど、日本で走らせるためにはフロントブレーキは付けなきゃいけないんだそうだ)
とりあえず店の前をぐるりと走らせてもらう。習慣からついブレーキレバーばかりに頼ってしまい、思い出したようにコースターブレーキでがくんと止まってバッと両足を付くというまるで不格好な乗り方だったんだけど、ライド感は予想以上に楽しくて「おお〜!」と思わず声が出てしまう。これはいいですね。
正直、交通量の多い街中で障害物を避けながらキビキビ乗るには向いてない感じですが(まあビーチクルーザーですから)、川沿いのコースなんかをすいーんと走ると気持ちいいだろうなと思った。あー、乗ってるときの写真撮っとけばよかった。
丁寧に応対してくれた店員さんにお礼を言って、銀座に移動。

□ギャラリーに行く前に、ソニービルでα100の体験会をやっていたので覗いてみる。ファインダーの明るさを確認したかったんだけど、薄暗いショールームではあまりよくわからなかった。アイスタートAFシステムは面白いですね。AFも速いし、液晶プレビューのスクロールもストレスがない。
いろいろいじってたら、説明スタッフが肩から提げてた*istを見て「K100Dは気になりますか?」と聞いてくるので、ええいちおうと答えておいたら「まああちらはお安いですしねえ、その分部品コスト下げてありますからいろいろと…」なんて言われてしまう。ああそうですか。

□ガーディアンガーデンに行き坂口トモユキ展 Home。長時間露光で撮影した深夜の住宅街の異様な佇まいにのまれる。坂口さんがいらしてたのでちょっとお話を聞いたりした。
その後一服して、道すがら地図屋をひやかしたりしながら、日本橋の西村画廊で町田久美展。こっちもよかった。日本画を見ると、自然に細部と全体に視線が届くんだけど、その中間を満たすものは一体なんなんだろう。
日も暮れかかり、丸の内オアゾのJAXA iへ。
「宇宙芸術展」なるものが開催中だったんだけど、H-Iロケットのノズルやスペースシャトルの船外活動スーツのほうに目を奪われてしまった。タッチパネルで操作できるGoogleEarthが面白くて、今度小澤さんと一緒に登る北アルプスを表示させたり、スタッフの人から宇宙食の説明を受けたりする。船内で出たゴミは大気圏再突入時に焼却処分するんですという話を聞いて、シャトルと一緒に炎に包まれるゴミパックの図が思い浮かんだ。
宇宙関連書籍コーナーに置いてあった中村桂子「語る科学」(JT生命誌研究館)を何気なく開くと、NTT出版ばりの豊富な図版と洗練されたセレクションがなんともいい感じ。帰ったら注文しよう。

fruits.png□新宿でドッパク君と待ち合わせて、ベトナム料理屋で夕食。ここの海鮮おこげがやたら美味くて感動(俺の中でソフトシェルクラブを越えた)。フォーやベトナムビールを肴に談笑。ハチミツの話題から火がついた果物話で異様に盛り上がる。
ドッパク君が日記で書いてるので、俺サイドの記憶を補完しておくと、マスクメロンのワタの部分だけを種を丁寧に取り除いて小鉢によそってもらいたいだの、キウイの白い部分だけを切り出してスティックサラダのように食いたいだのと至高のグルメ妄想にも取り憑かれていた。どちらかはそのうち実現したいです。
あと昔見た「水銀が何かの拍子に口に入って、飲み込むこともできず口の中に唾液がたまり続けて困る悪夢」の話をしたら、小澤さんの奥さんが「私もエレベータの天井から手に垂れてきた黄色い液体を思わずなめてみたら機械油で、外に出るまで吐き出すことも出来ず大変な目に遭って」とおっしゃるので、それもすごい夢ですねえと感心していたら実話だったりとかオモロすぎる雑談を延々と。
それ聞いて、エレベータの天井裏にミツバチが巣を作っててそこからハチミツが垂れてくると美味しそうだというビジョンが浮かんで、あそうかそこでハチミツ話につながるんだった。記憶が前後してすみませんねえ。謝るこたないか。
ほかにも爪掻本つづれ織職人の恐るべき掟とか、良い着物は履物屋から探すといいとか面白い話をたくさん聞くうちに気が付けばラストオーダー、食事が早めに終わったら「ヨコハマメリー」を観に行こうなどとどだい無理な予定を立てて買っておいたチケットは反古に。一人ホテルに戻り就寝。
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2006.06.23 (Fri) 原理と細部と

JustDoIt.jpg 145×120 68K □昼過ぎに高山を出発。
夜、お茶の水neoneo坐にて科学映画特捜隊の上映会「動詞映画まつり Just Do It!」に顔を出す。
60〜80年代にかけて科学技術庁(当時)が制作した動詞をタイトルにした科学映画シリーズから、今回は「ぬれる」「すべる」「あらう」「染める」の四本を上映。映画はテーマに関連した事象を科学エッセイ風に次々と紹介していく。

□「ぬれる」では、もともと水に溶けない性質を持つ顔料が、なぜ墨という製品になって用をなしているのかという説明から、そもそも物質がぬれるということはどういうことなのかを観察と実験を織り交ぜながら解き明かしていく。
今ではほとんど見ることのできない、職人の手による墨づくりの行程がとても興味深い。親水作用の説明をするのにアヒルの浮いている水槽へ界面活性剤を注ぎ入れるシーンがとりわけ秀逸だった。
画面外からビーカーを持った手が伸びてきて、おいおいと思う間もなく界面活性剤が流し込まれる。すると、それまでアヒルを水面に浮かべていた羽毛の撥水性が界面活性剤の親水作用で失われ、次第に胴体が水中に沈みはじめる。異常事態を悟ったアヒルが大慌てで羽をばたつかせているのよそに、その間ナレーターは界面活性剤の働きについて語り続けているんだけど、ナレーションがなかなか終わらずアヒルはますます恐慌状態に陥っている。かわいそうなんだけど妙に可笑しくて、ナレーションが長引けば長引くほど、だんだん会場から笑い声が聞こえてきた。

□このシーンの撮影については会場にいらしていた監督から当時のエピソードのひとつとして語られて、驚いたアヒルがフンをして水槽の水が汚れてしまうので、フンをしなくなるまで何度もリテイクを重ねたんだそうだ。やはりアヒルにはきちんと溺れかけてもらわなければならないという明確な演出意図があったということなんだろう。過去の科学映画を観ていると、ポピュラーサイエンスの使命である「説明のわかりやすさ」を追求するあまり、この種の「過激さ」が往々にして顔を出す。
別に笑わせようという意図はなく、単に現在の笑いの文脈にたまたま乗っかっただけなんだけど、こういうシーンに出くわすのは本当に面白い。

□他の三作品もどれもよかった。
「『染める』とはいったん水に溶かした染料を繊維の中に浸透させ、再び水の中に溶け出さないようにする技術なのです」という簡潔な定義がズバリと言い切られたのには意味なくときめいたし、「染める」の内容自体が「あらう」と対になっているのも面白かった。

□自分が科学映画や産業映画(ダム建設や飛行機開発の記録映画)を好んで観るのには、いろんなものの原理や仕組みがわかるという楽しさもあるんだけど、映っている世界がちょっと昔であるというのも大きなポイントのひとつだ。
昔が見たいんなら古い映画でいいじゃんって言われそうだけど、科学や産業の理解・PRという目的のために特化された科学映画は劇映画と違って、その語り口や視線がとても硬質でモダンなのだ。その特長は他ジャンルではなかなか得難いものがある。
それに、昔の図鑑で見たような風景が豊かなディティールと奥行きを持って広がっているのも楽しい。我々の日常にあるものの大半はだいたい60-70年代頃には実用化されたり原理が発明されているから、僕なんかからすると映画の中の世界は丸ごと旧モデルで運用されているパラレルワールドに見える。新幹線も高層ビルも飛行機もカメラも、電子計算機も洗濯機も炊飯器も信号機も通信衛星も、全部初期型で現役稼働。そういうものは機構が単純で、ものによっては現在以上にエレガントだったりするから、説明を見てもすんなり腑に落ちる。原理が今と変わらないだけに、かえって時代のディティールが強調されて細部への眼差しが駆り立てられもする。そういう異世界の中で力強く語られる科学はノスタルジーとは違った感覚をかき立ててくるのだ。
たとえは急に飛躍するけど、ピタゴラスの定理の図が見開きでどーん描かれている江戸時代の和算書や、当時の観測をもとに精密に月面を描いた二幅一対の掛け軸(画面は縦長だから左右に並べて1つの月面図になる)なんかを見ると、なんともいえないフェティッシュな高揚感がわき起こってくるんだけど、その感覚にも通じている気がする。時代ごとの表現形の多様さと、科学の普遍性の対比に心をくすぐられたりするのだろうか。

□NFCの岡田さんが書かれた「科学から空想へ」という文章は科学映画観賞の手引きとしてすごく魅力的ですんで、ぜひご一読を(「近過去」というキーワードがとても気に入ってます)。そんでもって興味がわいたらぜひ一度観にきて下さい。次回は7/28です。「こわす」「くっつける−接着の革命−」「混ぜる−そこで何がおこるか−」「みがく」の四本を上映とのこと。

□上映会終了後、近くの台湾料理屋で科特隊の皆さんと食事。
自分以外は公私にわたって映画に深く関わっている方ばかりで、話を聞いてるだけでおなかいっぱいになった。
8mmフィルムの生産終了の話題から始まって、かつて家庭用8mmフィルムで発売された超短縮版「スターウォーズ」「未知との遭遇」はなんだか凄そうだとか、高島忠夫や長門裕之などの8mm好き有名人が身内を撮って編集もせずほったらかしにしてあるプライベートフィルムを借り出して見てみたいとか、素人が聞いていても胸躍るような思い付きがポンポン飛び交う。
個人的にシビれたのは、世界中の映画会社のオープニングロゴだけを集めた上映会と(東映映画の有名な「波しぶき」は再撮影されていて、最近のものバックの海が引き潮になってるらしい)、いろんな映画のカウントリーダー(フィルムの頭に入っているチラチラしたカウントダウンのアレです)だけを集めた上映会なんて企画。そういうのは激しくツボなんで、ぜひ実現してほしい!
無知が一人混ざって訳もわからずテンション上げているのが気の毒に思えたのか話の途中で簡単にレクチャーしていただけたんだけど、映画というジャンルの中では我々が普段劇場で見ている商業映画はその量においても一部に過ぎなくて(じじつ今日上映された過去の科学映画やもろもろの産業映画は劇場では公開されていない。すなわち「観客」を持たない!)、非商業映画がかなりの部分を占めているうえに、未発見のフィルムは世界中にまだまだ大量にあるんだそうだ。まるで「地球上の動物種の70%は昆虫で占められていてそのほとんどが未発見である」みたいな話に聞こえて、映画というジャンルの計り知れない厚みに頭がクラクラしてきた。
他にもポジよりネガフィルムのほうが褪色がゆるやかであるとか(ニュープリントのメリットが分かりました)、イタリアの映画館ではどんな長さの映画でも必ず1時間ごとに休憩が入るとか、謎の映像作家コリン・マッケンジーをめぐる奇怪なエピソードとか、書いてくとキリがないけどとても充実したひとときでした。

自分メモ:デレク・A・スミシー「コリン・マッケンジー物語」(パンドラ)
あと、セオドア・ローザック「フリッカー-あるいは映画の魔」上・下(文春文庫)
たまたま最近読んでいたので、その夜の映画話がよけいファンタジックに響いた。面白いっすよこれ。

□ホテルに戻ってコインPCでWebメールやmixiをチェックしてたら、となりのブースにいた人からいきなり「お、そちらもマイミクですか?」と話しかけられ驚いた。見ると70前後のおじいさんで、その人のPCにもmixiの画面が。初めて見る超シニア組に軽いショックを受けつつ、ぎくしゃくとした相づちを打ってそそくさと部屋に戻る。mixiチェックを「マイミク」と呼ぶ用法の照れくささはいったい何なんだろうとベッドに入っても頭の中がモヤモヤしてうまく眠れなかった。
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2006.06.18 (Sun) コシナのデジカメ

□ほったらかしにしたらコメントスパムがいっぱいに。見苦しくしててすみませんでした。
ちゃんとこまめに管理しろっていうメッセージなのか。

□23日から週末は東京方面にお邪魔します。お目当ては「科学映画特捜隊」の上映会。
Just Do It! 動詞映画まつり

その名の通り、「ぬれる」「こわす」など、タイトルに動詞を冠した科学映画を集めて観賞するという趣向の上映会です。
どれもシンプルでエレメンタルな言葉だけに、その奥に広がる自然の様相は胸ときめかすものばかりかと早くも胸躍っております。入場は無料ですので是非みなさまも足をお運びください。
neoneo坐
※なお「生きる」は今回の上映予定に入っておりません。

□あと、小澤さんからお誘いを頂いた坂本トモユキ展もで覗いてこようかと。
どの写真もHDRIみたいですが、れっきとした長時間露光撮影なんだとか。面白そうだー。

□カメラといえば昨夜mcdさんと飯を食いながら、新しく買ったというEOS 5Dを見せてもらう。年末だかにリコーのGR-Dを買ったあたりから高級機志向のタガが外れたらしく、この人こないだもEOS 30Dを買ってたはずだよなとか思いながら、エントリー機に比べて右方向に大きく張り出した感のある分厚いボディを掴んで何枚かシャッターを切らせてもらった。ファインダーの中に赤い測距点がためらいなくまたたいてミラーが跳ね上がる。USMモーターのトルクが重いボディの中に吸い込まれていく感じも心地いい。すごいなあ。
デイバッグに小型カメラをつっこんで動き回っている身からすると正直手に余るようなサイズと重量なんだけど、撮り始めらそんなことはすぐに気にならなくなるのかもしれないですね。なにしろフルサイズですから(背面液晶でプレビューしかしなかったけどすげえ解像感でした)。

実はその晩もう一台サプライズがあったんだけど(この人は一体何台カメラを買っているんだろう)、これはあまりに異質すぎてちょっと見当識を失ってしまった。なんかえらい世界に踏み込み始めてるなあ。
とりあえずドイツレンズ沼への見事なはまりっぷりを固唾をのんで見届けることにします。
夢中で触らせてもらっているうちに気が付けば午前2時。

□私も自分用に念願の魚眼レンズ買いました。これを装着した*istのファインダー覗きながら階段を駆け下りるという遊びが近頃のマイブーム(危険です)。
7月はこれ持ってカミオカンデと西穂高に行ってきます。
sentou.jpg 213×320 85K
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2006.05.11 (Thu) 3ch

spro0511235739.png 400×400 14K □任天堂Wiiの発表を聞いていちばんヘーと思ったのがコントローラにスピーカーが付いてることなんでした。
これテレビと合わせると3個ですよね。モノラルテレビでも2個ですから、とりあえず手元とテレビの間のステレオが実現されるわけですよ。
わー!なんだそれ!(喜)
ふつうスレテオったら左右なもんですが、これが自分とテレビの間で音が定位したりなんかすると、いきなり「そのへん」から音が鳴ったりするんだろうか(夢見すぎ?)。
とりあえず新しいゼルダでは矢を放つとこっちから向こうにが音がすっ飛んでいくって話なので楽しみです。Wii買うよー。
やたら高いあれは1080pのHDTV買ってからね!
  • dotimpact: Wiiモコンとテレビスピーカーがアンバランスすぎるから、スレテオはむりかもしれないねえ。聴いてみたいけど。

    ヌンチャクにもスピーカーをつければよかったのに! [2006/05/12 08:08]
  • 沢村: SEぐらいの音質ならケータイ程度のスピーカーでも結構鳴ってくれるかなと思ったんだけど
    そもそもヘッドホンでプレイしてる人には関係ないかも〜(撤収モード)[2006/05/12 16:43]
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2006.05.08 (Mon) タイトルは星新一

電エース「いかレスラー」の河崎実が「日本以外全部沈没」を撮るそうな
10日で撮って8月公開とか。
藤岡弘まで出るのか。前作劇場版では主人公小野寺を演じてました。
むかし読んだ筒井康隆の原作は「世界中の人間を収容するには淡路島の面積で足りる」なんてトリビアネタばかりが記憶に残ってますが(むしろ当時は小松左京「雑学おもしろ百科」ネタか)、発表年から人口が激増した現在で試算すれば佐渡島くらい?
ちなみにこのネタ、人類全員をすし詰めに立たせるというのが条件です(ひでえ)。

関連サイト:「日本沈没」公式

□竹内薫 藤井かおり「脳をめぐる冒険」(飛鳥新社)
装画がモリナガ・ヨウさんなんだけど、表紙が…メイド
そうか、脳の中の世界の話だもんな。

□↓なんかすごい怒り狂ってるみたいで赤面。そんなでもないです。
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2006.05.03 (Wed) 小鼻に挑む

□明日からサンフランシスコに行くという友人らと食事。
高めのお寿司をよばれつつ(ご馳走さまでした)、向こうの人にセッティングしてもらったという滞在スケジュールを聞いたら結構充実しててつい羨ましくなってしまった。個人海外旅行というのはえてして公共交通機関に沿った移動しかできないんだけど、現地の案内人がいると俄然移動の範囲が広がるから実によろしい。
向こうで世話をしてくれる人が、その友人の家で昔ホームステイの世話をした女の子なんだそうで、色々と話が通じるのも心強い。おまけに一緒に住んでる彼氏がGoogle社員と聞いてまたしても感嘆。社内ツアーさせてもらうだけですげえ土産話になるんじゃないか。
とりあえずグーグル本を機内で読む本として薦めておいた。

□そのまま友人の家に上がり込んでテレビ
BSアニメ夜話第6弾・第二夜「王立宇宙軍 オネアミスの翼
語り出したら確実に朝までコースになる心のアニメですので体は寝そべりつつも頭は正座をしながら試聴しておったのですが、ゲストで来ていたアニメ監督の神山健治がセレクトしたお気に入りシーンがそのまま俺のツボと合致して大いに高揚しました。神山さん好きだ!(攻殻SAC観てませんが)
そのシーンてのは物語の進行にはあまり影響を及ぼさないいわゆる「ダレ場」で、具体的には訓練風景から機体開発、シロツグが髪を切っているところまでの日常の断片をBGMとともに見せる1分強のシークエンスなんですが、実際ああいうダレ場は上手く使うと映画に大きな奥行きを与えるものだとは了解しつつも、当時制作スタッフのひとりだった岡田斗司夫がとくに最後の散髪風景について「あのシーンで自分たちの力を超えた映画ができつつあると感じてた」なんてことを感無量の面持ちでコメントしてるのを見てわがことのように嬉しくなってしまった。
ほかにもロケット打ち上げシーンの作画とアポロの記録映像との対比や、すげーどうでもいい設定資料への言及などを交えつつ、いい年したおっさんたちが高揚して語りまくる昔話に耳を傾けながら上機嫌で見てたのですが、途中トークがヒロインのリイクニの造形に話が及んだ際、「エガワさんならどう描きますか」と振られた江川達也がスケッチブックを取り出してその場でさらさらと江川版リイクニを描きはじめたのにはちょい待てと言いたくなった。
慣れた手つきでペンを走らせながら、劇中作画のような鼻の描き方は大友克洋の影響下にあるとか、でも実際描いてしまうとあんまり可愛くならないんだよねとかなんのかんのと講釈を垂れつつさらさらと描き上げた江川リイクニは、案の定というかなんというか江川達也が描くふつうの女子キャラで、キャプ画があれば晒したい気分なんですが、とりあえずなめとんかーとテレビ壊したくなった。まあ、江川さんが描くのを避けた小鼻は別にキャラの顔立ちに影響を及ぼさないだろうという確信はあったので、心の中で吠えたてる狂ったファン心をなだめつつ最後までおとなしく見ましたけども。
放送時間が短いことをのぞけば全体的に悪くなかったのでよかったです。再放送しないかな。

つーこって帰ってから描いた俺リイクニ2006。
江川リイクニにケチ付ける資格があるかどうかはあやしいですが、小鼻だけは勝ったといいたい!(小せえ)
Replay
spro0504034249.png 300×300 10K
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2006.04.27 (Thu) 小指、ATMに挟まれる

mario.png 86×117 8KSILKYPIX リモコンQR
SILKYPIX リモコンQRは、携帯電話に搭載されている赤外線ポートを利用して、デジタルカメラをテレビやビデオのリモコン感覚でコントロールする機能を実現するiアプリです。
おお、これはありがたい…かもしれない(所有機には対応してないのだ)。Pentaxもお願いします。

orzマリオ
エミュでいじった改造ステージでしょうか。どう見ても攻略不能の悪夢的なステージを、わけのわからん超絶テクで次々とクリアしていく21分強のムービー。不条理な挙動が夢に出そうです。

どこかで拾ったまま忘れてたらしく、デスクトップにしばらく放置してあったファイルをたまたま開いたら見入ってしまったんですが、どこにリンクすればいいのかわかんないので自分とこに置いておきますね。委細ご存じの方いらっしゃいましたらコメントおねがいします。有名なムービーなのかな。
壊れたルールに支配されたキノコ国を観てるうちにじわじわとこみ上げてくるこの居住まいの悪い可笑しさはなんなんだろう。「異次元コボちゃん」を初めてみたときの気持ちに似てる。
4:40らへんでは普通に吹きましたが。

あばばばば
芥川龍之介
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