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■19980921


■19980910の続き。おそらく「ストーリーが平凡」という指摘がある。というか、メタルギアソリッドについては、誰もがひとまず面白さを認めた上で、そのような指摘をする。その種の、あえてべた褒めしない冷静さを私は基本的に買うが、じっさいのところ「ストーリーが平凡」という指摘こそありきたりなのであって、どちらかといえば、誰もがひとまず面白さを認めた(そうしてからおずおずと揚げ足を取る)、ということの意味に目を向けなければ、その冷静さに価値はないのです。つまり、名作ゲームというのは、誰もがひとまず面白さを認めなければならないという妖しげな力を持っていて、そのことを最悪でも漠然と説明できる指摘が採用されなければ、何も言ったことにならない、ということです。そもそも、「ストーリーが平凡」ということにプレイしてようやく気づいたのだとしたら、その指摘の素朴さを少しは恥じた方が良いと思う。ちなみに、「画面のリアリティにストーリーがついてきていない」と言い換えたところで、その素朴さは変わらないと思う。

■19980913


今のところこれは妄想にすぎないのですが、まったく独自のルールでファミ通のクロスレビューまがいのことがやりたい。むろん、皮肉を込めたパロディーならすでにいくらでもありますから、独自のルールがとても重要。でこんな感じ。「字数はファミ通のクロスレビューにほぼ準拠。ただし、字数稼ぎに恣意的なことを書くくらいなら何も書かない」「プレイ時間は公表しない」「さらに、そのゲームを実際にプレイしたかどうかも秘匿する(プレイしていないのはもちろん、プレイしたことすら文章から読みとれてはいけない)」「何点満点かを統一しない。ゲームによって十点満点だったり五点満点だったり○×△の三段階だったりする」「その点数なり○×なりに相応しい文章はむしろ避ける」信じられないかもしれませんが、私はわりと真面目にこれを言っています。

■19980910


誰かに勧められるまでもなく私はまったく個人の判断でメタルギアソリッドを買うわけですが、店頭に並んだ真新しいソフトを手にとってファミ通の推薦シールがあらかじめ貼ってあるのを見ると、無性にむかつきます。まあそれはともかく、このようなかならずしも低いとは言えない難易度のゲームにファミ通が高得点を付けたことの意味を考えました。というのも、ファミ通は、概して難易度の高いゲームを厳しく評価する傾向にあります。これはしばしば批判されることですが、ファミ通の平均的な読者像を念頭においた傾向であるとするなら、その批判は的外れです。雑誌の方針としては、むしろ健全だといえます。しかし、現実にはメタルギアソリッドのような例外的な評価も存在する。むろん、表面的にはプレイして面白いと感じたからそのような例外もあるのでしょうが、面白いという感覚はまったく個人的なものでしかありませんから、個人と集団そのどちらともいえる雑誌の評価記事では、事態はもう少し複雑な気がします。私が考えた「意味」とは、高い難易度を頑なに拒み続けるファミ通の、平均的な読者像を裏切る今回のような素振りに、どのような修辞にも勝る説得力を感じたということです。また、名作は頑なさをそのように揺すぶる、ともいえると思います。(前置きが長くなりましたが)そうです、不満がなくはないのですが、メタルギアソリッドは名作です。


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